吹奏楽 合奏の進め方のコツや指導方法
「指揮者の先生がいなくて、合奏の指導を任されたけど、どうしたらいいの?」という部長さんや
「はじめて吹奏楽の顧問に就任したけど、どうやって指導したら良いの?」という先生方のために
吹奏楽の合奏の進め方のコツや指導方法についてまとめました。
合奏の進め方のコツ その1「時間配分を考える」
社会人の方はもちろん、中学校や高校の部活動の場合、よほど音楽を専門的に行う学校でない限り日々の練習や合奏に何時間も使えるわけではありませんよね。
なるべく短時間で効率的に合奏を進めるためには、適切な時間配分を考えることが重要です。
今の目標、つまり「ゴール」は何か?
そのゴールのために何にどれぐらい時間を割くべきかは、ケースバイケースで変わってきます。
例えば、コンクールや演奏会が迫っていて、合奏には1日1時間しか取れない、という場合はウォーミングアップはそこそこにして苦手な曲を集中的に練習したり、全体のバランスを整えたり、演奏のクオリティーを磨きあげることに専念したくなるはずです。
一方、コンクールは迫っていなくて、楽曲を練習し始めて日が浅い場合、基礎練習やハーモニーをとる練習にじっくり時間をかけたり、楽曲の練習は全体の流れをつかむことや、楽譜に書かれた音を正しく出せているかチェックするようにします。
合奏の進め方のコツ その2「基礎練習」
課題曲や演奏会で行うメインの曲と同じ調の音階練習をします。
例えば、ト長調だったら GABCDEFG(階名:ソラシドレミファソ)、へ長調だったら FGABCDEF(階名:ファソラシドレミファ)の音階を練習します。
付点をつけるなどしてリズムのバリエーションをつけてからストレートに戻して練習すると、なめらかに吹けるようになります。
また、課題曲と同じ調の和音練習(I-IV-V)も忘れずに行いましょう。
同じくト長調だったら、 I 度の和音:GBD(ソシレ)、 IV度の和音:CEG(ドミソ)、V度の和音:DF#A(レファ#ラ)の音を全体で合わせます。
*詳しい練習方法は 吹奏楽でのハーモニーの取り方やポイント!効果的な練習方法は?の記事を参考にしてください。
合奏の時間を有効に使うのなら、「全体での基礎練習はいらないのでは?」と思われるかもしれません。
でも、ここで少し時間を割くことで、その後の練習効果が変わってきます。
合奏の進め方のコツ その3「楽曲分析と役割の共通認識」
指導する立場の先生や部長は、全体練習に入る前に楽曲を分析して、曲全体の流れを理解する必要があります。
分析といっても専門的になる必要はないので、まずは曲全体の雰囲気、構成や各楽器(パート)の役割を知る、などのポイントを押さえましょう。
各楽器(パート)の役割は奏者にも伝えると、よりスムーズに合奏を進めることができます。
チェックするポイント
- 勇ましい堂々とした曲なのか、優しく語りかけるような曲なのか?曲調を把握。
- モティーフ(主題)はどのように演奏されるか?何度も登場する場合、どのように変化するか?
- メロディーを担当する楽器、ベースを担当する楽器はどれか?
- 各楽器の役割は、セクションで変化するか?
など。
*詳しくは、吹奏楽の譜読みトレーニング!7つの効果的な方法をご参照ください。
合奏の進め方のコツ その4「テンポをゆっくりにして合わせる」
奏者がまだしっかり練習できていない段階で、いきなりインテンポで合わせ、ぐちゃぐちゃの演奏になったことはありませんか?
そんな時は、ゆっくりのテンポに落として合わせてみましょう。
楽譜に書かれたテンポよりも7〜8割の速度(♩=100の場合、♩=70-80 から)からが望ましいです。
急がば回れ、ですね!
合奏の進め方のコツ その5「苦手なセクションを分奏」
全体で通し練習をして、問題点をいくつか指摘し、また通し練習、、、という方法を繰り返すのは、あまり効率的な練習とは言えません。(やってしまいがちですが。)
ゆっくりなテンポで練習しても合わなかったリズム、音程、和音などを記録しておき、その苦手を重点的に
練習しましょう。
同じリズムや似た動きをする楽器同士で合わせてみて、できるようになったら全体練習に戻ります。
例えば仮に、下の譜例の5小節目から縦のラインが揃っていないとします。
同じ動きをしているBb Bass ClarinetとEb Baritone Saxで一緒に合わせてみて揃ってきたら、次にEb AltoClarinet とAlto Saxで一緒に合わせる、といった手順で分奏します。
おまけ 合奏前にやっておくべきこと
多くの場合、合奏に入る前にパート練習や個人練習をしている事でしょう。
これは奏者の方へのお願いになりますが、、、合奏に入る前に各自がチューニングを行い、正しい音程、リズム、強弱で演奏できるように準備しておいてください。
当たり前のようでなかなか難しい事ですが、みんなの大切な合奏の時間を有効に使うため、自分でできることは可能な限りやっておきましょう!
また、作曲家のプロフィールや、楽曲にまつわる背景やエピソードを知っておくと楽曲に対する理解が深まり、演奏がぐっと変わってきますよ。
まとめ
今まで奏者の一人だったのに、突然合奏を進める立場になったら、プレッシャーを感じて戸惑ってしまいますよね。
でも、そのような経験はより深く楽曲や楽器の事を学べるチャンスでもあります。
大変だけど、「みんなと音楽を作っているなあ」という喜びも味わうことができますよ!